問題
第3問
あるゲームでAがBに勝つ確率は常に一定でとし,毎回のゲームで必ず勝負はつくものとする。A,Bがゲームを繰り返し行い,先に2連勝した方を優勝とする。このとき,を2以上の整数とし,回までのゲームで優勝が決まらず,回目のゲームでAの優勝,Bの優勝が決まる確率をそれぞれとする。を1以上の整数として,以下の問いに答えよ。
(1)次の確率をそれぞれ求めよ。
・Aが1回目と2回目で2連勝し,2回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・Bが1回目と2回目で2連勝し,2回目のゲームでBの優勝が決まる確率
(2)次の確率をそれぞれ求めよ。
・Aが1回目に負けて2回目と3回目で連勝し,3回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・Bが1回目に負けて2回目と3回目で連勝し,3回目のゲームでBの優勝が決まる確率
(3)次の確率をそれぞれ求めよ。
・4回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・4回目のゲームでBの優勝が決まる確率
・5回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・5回目のゲームでBの優勝が決まる確率
(4)次の確率をそれぞれで表せ。
・偶数()回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・偶数()回目のゲームでBの優勝が決まる確率
(5)次の確率をそれぞれで表せ。
・奇数()回目のゲームでAの優勝が決まる確率
・奇数()回目のゲームでBの優勝が決まる確率
(6)奇数()回目のゲームまでにAの優勝が決まる確率
をで表せ。
2025年度 一般選抜前期日程 数学 第3問 解説
第3問は、反復試行の確率と数列の和を組み合わせた問題です。Aが勝つ確率を \(p = \frac{1}{3}\)、Bが勝つ確率を \(q = \frac{2}{3}\) として、具体的なケースから一般項を導き出す思考力が問われます。
■ 問題のポイント
- 優勝が決まる条件: (n) 回目でAが優勝するには、「(n-1) 回目もAが勝ち」、かつ「(n-2) 回目までは2連勝が発生していない」必要があります。
- 試合のパターン: 2連勝が発生しないためには、勝敗が「A→B→A→B…」のように交互に続くしかありません。
(1) \(a_{2}, b_{2}\) の計算
2回目で優勝が決まるのは、1回目と2回目で同じ人が連勝する場合です。
- \(a_{2}\) (AA): \(\frac{1}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{9}\)
- \(b_{2}\) (BB): \(\frac{2}{3} \times \frac{2}{3} = \frac{4}{9}\)
(2) \(a_{3}, b_{3}\) の計算
3回目で優勝が決まるには、2回目と3回目で連勝し、かつ1回目はその人と異なる人が勝っている必要があります。
- \(a_{3}\) (BAA): \(\frac{2}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{2}{27}\)
- \(b_{3}\) (ABB): \(\frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times \frac{2}{3} = \frac{4}{27}\)
(3) \(a_{4}, b_{4}, a_{5}, b_{5}\) の計算
4回目以降も、最後が連勝(AA または BB)で、その直前までは交互に勝敗が続いている状態を考えます。
- \(a_{4}\) (ABAA): \(\frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times (\frac{1}{3})^{2} = \frac{2}{81}\)
- \(b_{4}\) (BABB): \(\frac{2}{3} \times \frac{1}{3} \times (\frac{2}{3})^{2} = \frac{8}{81}\)
- \(a_{5}\) (BABAA): \(\frac{2}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times (\frac{1}{3})^{2} = \frac{4}{243}\)
- \(b_{5}\) (ABABB): \(\frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times \frac{1}{3} \times (\frac{2}{3})^{2} = \frac{4}{243}\)
(4) 偶数回目 \(a_{2k}, b_{2k}\) の一般項
偶数回 \(n=2k\) でAが優勝するパターンは、\((AB)^{k-1}AA\) です。
\(a_{2k} = (\frac{1}{3} \times \frac{2}{3})^{k-1} \times (\frac{1}{3})^{2} = \frac{1}{9} (\frac{2}{9})^{k-1}\)
同様にBが優勝するパターンは、\((BA)^{k-1}BB\) です。
\(b_{2k} = (\frac{2}{3} \times \frac{1}{3})^{k-1} \times (\frac{2}{3})^{2} = \frac{4}{9} (\frac{2}{9})^{k-1}\)
(5) 奇数回目 \(a_{2k+1}, b_{2k+1}\) の一般項
奇数回 \(n=2k+1\) でAが優勝するパターンは、\(B(AB)^{k-1}AA\) です。
\(a_{2k+1} = \frac{2}{3} \times (\frac{2}{9})^{k-1} \times \frac{1}{9} = \frac{2}{27} (\frac{2}{9})^{k-1}\)
同様にBが優勝するパターンは、\(A(BA)^{k-1}BB\) です。
\(b_{2k+1} = \frac{1}{3} \times (\frac{2}{9})^{k-1} \times \frac{4}{9} = \frac{4}{27} (\frac{2}{9})^{k-1}\)
(6) 累計確率の計算
求める確率は、偶数回目の和と奇数回目の和を合わせたものです。
\(S = \sum_{i=1}^{k} a_{2i} + \sum_{i=1}^{k} a_{2i+1}\)
それぞれの等比数列の和を計算します(公比はともに \(\frac{2}{9}\) です)。
\(\sum_{i=1}^{k} a_{2i} = \frac{1}{9} \cdot \frac{1 – (\frac{2}{9})^{k}}{1 – \frac{2}{9}} = \frac{1}{9} \cdot \frac{9}{7}\{1 – (\frac{2}{9})^{k}\} = \frac{1}{7}\{1 – (\frac{2}{9})^{k}\}\)
\(\sum_{i=1}^{k} a_{2i+1} = \frac{2}{27} \cdot \frac{1 – (\frac{2}{9})^{k}}{1 – \frac{2}{9}} = \frac{2}{27} \cdot \frac{9}{7} \{1 – (\frac{2}{9})^{k}\} = \frac{2}{21}\{1 – (\frac{2}{9})^{k}\}\)
これらを足し合わせると、
\(S = (\frac{3}{21} + \frac{2}{21}) \{1 – (\frac{2}{9})^{k}\} = \frac{5}{21} \{1 – (\frac{2}{9})^{k}\}\)
したがって、求める確率は
\(\frac{5}{21} \{1 – (\frac{2}{9})^{k}\}\)
となります。
💡 講師からのアドバイス
この問題の核心は、確率の問題を数列の問題へと還元する「モデリング能力」です。初見では複雑に見えますが、具体的な数値を書き出して「あ、ABがセットで繰り返されているな」と気づければ、等比数列の公式に当てはめるだけになります。
